映画美学校映画祭スカラシップ作品
2008年(93分)DV

監督・脚本:松村浩行
助監督:大城宏之 石住武史 本間幸子 撮影・衣装:居原田眞美 録音・編集・整音・劇中写真:黄永昌 装置:相馬豊 装飾:浦井崇 スチール:宮本厚志 製作:柴野淳 河合里佳 協力:映画美学校 新茶屋お母婆 製作・配給・宣伝:トーチカ・ユニオン

出演:藤田陽子 菅田俊

あらすじ:日本最東端に位置するロシア国境の町、北海道、根室。冬枯れの荒野に、第二次大戦時に作られ今は潮風に曝されるがままの朽ちたトーチカが点在している。そこにひとり佇む男。その光景を偶然目にした女。男と女のひとときの邂逅。そして男から語られるトーチカにまつわる小さな記憶。やがて二人はトーチカのなかに隠された、誰にも知られることのない時間の深みへとゆっくり下りてゆくのだった。

作品紹介:北海道根室の海岸に残る戦争遺跡「トーチカ」を舞台に、ワンロケーション、登場人物二人という過激なまでに切り詰められた表現によって構成された野心作。とうの昔に役割を終えたコンクリートの塊、暗い小部屋に引き寄せられ新たな記憶を紡ぐ男と女。「TOCHKA」には、歴史や記憶、すべてを呑み込む深い闇が描かれている。トーチカで偶然出会う男女を、現在の日本映画界に不可欠な菅田俊と「犬猫」での好演も印象深い藤田陽子が峻烈に演じる。広大な北の荒野を背景に、眼差しと言葉による息詰る二人のやりとりに注目が集まる。監督はこれが劇場デビュー作となる北海道出身の新鋭・松村浩行。

第22回 東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門上映作品