hitotsubuno_240第2期ドキュメンタリー・コース基礎科作品
2002年(23分)DVCAM

監督:對馬信英

【解説】東京・中延の手造り飴職人の記録である。映画美学校ドキュメンタリー基礎科の終了作品である『ひとつぶの』は、ものが「できるまで」の過程を追うという企画プレゼンを通して制作が決定された。きなこ飴、黒飴、さらし飴という三種類の飴のできるまでの過程が収められた。しかし、作者たちの真の葛藤は編集での試行錯誤となって顕われた。25分という上映時間に収めるため、どの飴を選ぶか。それにも増して橋本さんの人間味に魅せられた對馬信英たちは、過去のインタビューを通じての体験談、職人の歴史へと向かう気持ちが強かったはずだ。実際、興味深いエピソードが目白押しだったのである。しかし、彼らは「つくること」の現在形として、作品を提示する決断をする。そこでは、熱さ、柔らかさ、光の反射などが捉えられ、飴が硬くなるまでの時間の再現に挑みつつ、きなこと飴といった異なる質感のものが交じり合うときに生じる官能性が、見る者を魅了することになる。