アクターズ・コース開講にあたって
映画美学校は、1997年の「映画技術美学講座」(映画美学校の前身)以来、実践的な映画教育を行うとともに、ふたつの交流を大切にしてまいりました。そのひとつは国際交流であり、もうひとつは他ジャンルの表現領域との交流です。
この度、映画とかかわりの深い芸術ジャンルである演劇との交流を、人材育成を通じてはかるべく映画美学校アクターズ・コースを開講いたします。
シネマ・ダールや1920年代のロシア映画、アクターズ・スタジオを例に挙げるまでもなく、映画と演劇は歴史的にみても不可分の関係を築いてまいりました。
21世紀に入り早くも10年が経過した現在、メディアの多様化は一層加速しつつあります。その中で「映画的演技とは何か」「演劇的演技とは何か」「テレビ的演技とは何か」が、演出する側にも、演ずる側にも一層問われているのではないでしょうか。
映画美学校アクターズ・コースの構想が生まれたのは、映画美学校が国際交流企画として2008年9月に実施したフランスの映画作家ジャック・ドワイヨン監督による特別講義です。その講義の中でドワイヨン監督は映画学校における俳優コースの必要性について一言触れられました。自らの映画に素人俳優を起用しながら、俳優コースの必要性を説かれたドワイヨン監督の問題提起を私たちなりに受け止めた結果が、今回の開講にいたりました。
映画美学校のアクターズ・コースは、インディペンデントな俳優の養成を目指します。ここで言うインディペンデントとは、多様なメディアと様々な演出意図に柔軟に対応できる身体能力と技術を意味しています。そして、多彩な講師陣による実習を中心としたカリキュラムは、ひとりひとりの受講生がその能力を身につけ俳優として第一歩を踏み出す貴重な機会になるものと確信いたします。
映画美学校アクターズ・コースの開講が、フィクション・コースやドキュメンタリー・コースと同様、日本の映画シーンを一層豊かなものにするための一助となればと願う次第です。多くの方々の受講をお待ちしています。
2010年12月15日
映画美学校


